提供:ことりっぷ
その昔、清らかな水が湧き豊かな水をたたえる大きな池があったという二条城界隈。地下水が豊富なことから染物の町として栄え、今も京友禅などの工房が点在します。そんな伝統あるもの作りの町で、刺繍や編み物をはじめとするさまざまなハンドクラフトを、予約不要で気軽に体験できるのが「有閑堂」です。
静かな京町家で、時間を忘れて手しごとに夢中になる穏やかな時を過ごしてみませんか。
ポップなのれんが迎えてくれるクラフトスペース
のれんには、店名とともに「CRAFT LOUNGE you can do」の文字も
「有閑堂」へは、京都駅から地下鉄で約15分の二条城前駅で下車。黒門通を南へ下ると、やがてカラフルなのれんが目に入ります。
こちらののれんは、100年近い歴史を紡ぐ舞台衣裳専門型友禅工房・山元染工場でもの作りに励む山元桂子さんが立ち上げたブランド・ケイコロールの作品。ワクワクすることに出会えそうな色柄のデザインですね。
ハンドクラフトに没入できるラウンジ
築100年を越える京町家の中庭に面した部屋。建具にも凝った意匠が光る
店主の中武直美さんが有閑堂をオープンしたのは2025年9月。「AIが注目を集めるこの時代だからこそ、人が手を動かしてクリエイティブなことに取り組める場を作りたかったのです」と中武さん。
その結果、予約は不要、材料をその場で購入でき、必要な道具が使え、自分のペースでクラフトと向き合うことができる、時間制(基本料金1,320円/時間 ※ワンドリンク付き)のラウンジという形が誕生したそう。
さっそく、水引のアクセサリー制作を体験
水引細工のサンプル。イヤリングやチャーム、ストラップなど完成の形は多彩
有閑堂で体験できるのは、刺繍や編み物、ダーニング(衣服の補修)、ニードルフェルト、クイリング(ペーパークラフトの一種)、レジン細工、レザークラフト、アクセサリー制作などさまざま。まずは、クラフトの種類を選び、作りたいものを決定。サンプルを参考にすることもできます。
水引細工は色の組み合わせを考えるのが楽しい。材料の持ち込みもOK
もちろん、難易度や所要時間をスタッフの方に教えてもらうこともできますよ。この日、チャレンジしたのは水引のアクセサリー。必要な材料を聞いて、水引の色を選べば準備は完了。一部の材料は基本料金に含まれ(水引の場合は3本/時間)、追加で欲しい場合、必要な量だけ材料を購入できるのも嬉しいところです。
最初は手ほどきしてもらって、あとは1人で作業に没頭
スタート時間、材料代を記録した紙と、道具を受け取って好きな席でクラフトを開始。初めてであれば教えてもらうこともできるし、もし慣れている作業であれば説明なしでスタート、分からないポイントだけを質問するのもOKです。
中庭の緑にも癒やされる。コーヒー、紅茶、レモネードなどのワンドリンク付
必要な道具は無料で貸してもらえる。完成が近づくとワクワク
水引を編み上げたら、目打ちを使って形を整えます。こういうひとつひとつの工程を、きちんとこなしていくことが出来上がりの綺麗さに結び付くのだとか。
最後はアクセサリー用のパーツを付けてでき上がり。ほとんどのパーツは基本料金に含まれているそうです。また、ピアスなどのようにペアで作るものは、1つを有閑堂で、もう1つは材料を購入し、自宅で作ることもできます。
イヤリングやピアスは教えてもらったことを自宅で復習し、ペアに仕上げるのもOK
さまざまな手芸のつまみぐいが楽しいラウンジ
材料を受け取っただけでも気分が上がる刺し子のセット
手芸といえば、やっぱり針と糸。布で何かを作りたいなら、刺繍や刺し子も人気です。有閑堂で準備されている刺繍糸は約160色。刺し子のコースターであれば、初心者でも比較的短時間で仕上げられます。
久しぶりに何か作ってみたくなったときにも、よさそうですね。
ひと針、ひと針を、チックリチックリていねいに刺していく
繊細で華やかなペーパークイリングをあしらったカード
店主の中武さんが得意とするのはペーパークイリング。ヨーロッパの修道女が聖書の切れ端を丸めて装飾を作ったことが起源といわれる、レース模様のような繊細な曲線と立体感が魅力のペーパークラフトです。
実は、中武さんはイギリスの大会で受賞するほどの実力の持ち主。町家の床の間に飾られている中武さんの作品を見れば、きっと体験したくなりますよ。
おめでたい席では、心のこもった手作りのご祝儀袋でお祝いしたい
気ままに好きなものを作れるので、2つ以上のクラフトの合わせ技もできます。たとえば、水引きとペーパークラフトを組み合わせたご祝儀袋というのも可能です。
このあたりは教室とは違う、手芸のラウンジという場だからこそできることですね。
講師による本格的なワークショップも
ハンガリー刺繍と京友禅の技法を組み合わせたテーブルクロス
気軽さが持ち味の有閑堂ですが、ときには外部のプロの講師によるワークショップが開催されます。たとえば、ハンガリー出身の講師によるハンガリー刺繍や、伝統工芸士による京友禅などは、回数を重ねる人気の講座だそう。(ワークショップの料金は別途)
作家さんたちの作品が展示されるギャラリー。創作意欲がわいてきそう
いろいろなクラフトをお試しでチャレンジしたいとか、好きだった手芸を再開したいと思っていても、最初の一歩を踏み出すのは決心がいるもの。
そんなときに、そっと肩を押してくれる有閑堂。静かな京町家でゆったりとした時を過ごしながら、手しごと体験をしてみませんか。
文:戸塚江里子(らくたび) 撮影:保志俊平
